この世界の片隅に
シン・ゴジラ、君の名は。に続き、「この世界の片隅に」という映画も3回観てしまいました。
僕は戦争映画をあまり見たことはありませんが、今まで観てきたものは
・何か大きな悲劇が襲い、そこからまた立ち上がっていく
というような内容のものが多いように感じます。
が、この映画において、すずさんを含む登場人物は皆至って普通です。
冗談に笑うこともあれば、小言にうなだれることだってあります。
度々繰り返される空襲警報に、いい加減うんざりといった様子も描かれています。
戦争の事を話す会話の緊張感も「あそこは大変みたいだよ」程度で、義憤に駆られるような素振りも、アメリカがどうのこうのということも出てきません。
あくまで、当時普通だった日常が描かれていきます。
(かなり細かく取材してあるようで、実際にその時代を知る方々が懐かしがるほど普通です)
だからこそ、戦争の状況もよく分からないまま、気がつけば自分の住む場所が巻き込まれていくことの怖さを感じました。
「戦争」の部分が他の言葉に置き換われば、今現在と通じるような近さを感じた分、余計にそう感じてしまったのかもしれません。
あと、絵についてですがいろんな動作がとても自然です。びっくりするぐらいに自然です。
画用紙に絵を書くときの絵の具の滲み具合、字を書くときの手の動き方、荷物の背負い方などなど。
しかも、場面場面によって妙にすずさんが色っぽかったり、かっこよく見えたりと、表情をたくさん発見できました。
そんな絵の効果もあってか、3回観終わった後もなかなかじんわり来てしまって仕方ありません。
大仰に感動できるとか、泣けるとかではない、でも何故かふと観たくなってしまう映画だなぁと思います。
大勢のお客さんと一緒にクスクス笑いながら観るもよし、人の少ない時間帯にしんみり観るもよし。
いろんな観方がある、不思議な作品です。