週刊:浮草日記

日々の興味を綴るブログです

映画:舟を編む

amazonプライムで見放題の映画になっていたこともあり、まだ読んでいなかった原作の小説と合わせて観てみました。

 

新しいコンセプトの国語辞典を作る為、編纂作業に心血を注ぎ奮闘する人々が、時代の移り変わりと共に描かれている作品です。

 

小説では主人公の馬締の性格が一癖ある変人として描かれていますが、映画では言葉好きのオタクといったように描かれています。

 

言葉について悩むシーンでも、小説と映画で悩み方が違っています。しかしニュアンスとしての違いですので、小説を読んでいても十分に新鮮なシーンだと思います。

 

言葉の海を渡る舟、というコンセプトで劇中で編纂される国語辞典「大渡海」に合わせ、この映画では静かな波の音が使われています。一人で黙々と作業している馬締と一緒に、言葉の海へ潜ってしまうような感覚になりました。

 

一番馬締に共感できたのは、下宿に現れる猫の後を追っていくと、その猫を抱いて宮崎あおいがベランダに立っているのを見つけて、彼が腰を抜かしてしまうシーンです。

 

下宿先の主人である、お婆さんの孫という役柄なのですが、多分あの状況じゃ誰だって腰を抜かしてしまうのではないかと・・・そして、僕と似た考えの人なら、心底羨ましいと思ってしまうのではないかと思います。

 

お話は、極めて静かに進んでいきます。逆境に声を荒げることもなく、上役に理解を求める熱い直談判のシーンもありません。

 

ですが、辞書の編纂作業に取り組む人々の鬼気迫る表情や、静かな会話のやり取りの中に、じわじわとくる熱さを感じました。

 

松田龍平さん、宮崎あおいさん、最近話題になったドラマ「重版出来!!」で活躍された黒木華さん、オダギリジョーさんの演技も素晴らしい作品です。

 

小説と合わせ、違いを楽しんでみると面白さが増すかもしれません。

近々アニメ化もされるらしく、楽しみに思っています。